ちょこっとバス |
20:29 |
北京オリンピックの金メダル獲得から、かつてインターハイ出場経験をもつ人が当時使っていたグローブの写真をブログに載せ、それを読んだ人たちでコメントが盛り上り、にわかに話が具体化したのです。
それは私がチェックを欠かさないブログなので、ことの成り行きをずっと追っていた私は、どんなひとたちが集まって、どんな雰囲気のチームができるのか、ぶっつけ本番のチーム結成の顛末を、この目で見たくて仕方がありません。
無理やり都合をつけようと思います。
事前に「おくのの運動公園」とはどこにあるのか地図で調べてみると、道の駅「あいとうマーガレットステーション」(地元の人は「マガステ」と呼んでいるようです)から東に2キロほどのところです。
「マーガレットステーション」にはバス路線を示す赤い線が伸びていますが、公園の付近にはありません。
でも、2キロくらいなら30分もあれば歩けるでしょう。
雨ならば歩く気力も失せますが、その時は練習も中止のはず。
その「マーガレットステーション」を通るのは、八日市の駅前から出ている「ちょこっとバス」というものらしいのです。
これ、最近各地に増えている、民間の事業者が撤退するなどして公共交通機関がなくなった地域に、行政が経費を補填して運営しているコミュニティバスのようです。
ソフトボールチーム自体も気になりますが、このバスに乗ってみたくもなりました。
午前中にあった、組合の総会は、私の予想より少し長引きましたが、急げば12時ちょうどに大阪駅を出る新快速に乗れそうです。
途中の交差点の信号が変わるのもまどろっこしく駆け込んだ、さくら夙川駅。
次の京都方面の電車は11時33分発。
よかった。
これなら尼崎で予定の新快速を待ち構えて乗れるので、大阪で座れる可能性が高まります。
大阪駅では読み通り座ることができ、ほっと一息。
隣のホームでは、この電車の後を追って出発する札幌行き寝台特急「トワイライトエキスプレス」が今日も多くのマニアの放つストロボ光を浴びています。
近江八幡までは約1時間、しばしの小旅行気分です。
これからの行程は、近江八幡着が1時3分
八日市行きの近江鉄道が絶妙の接続で1時9分の発車。
八日市到着が1時27分で1時45分に出発する「ちょこっとバス」に乗り継ぎます。
綿密に調べあげたスケジュールは、何から何までおあつらえむき。
最後にはちょっとしたウォーキングを楽しみながら、2時半くらいには目的地に着きそうです。
車窓をながめながら、うつらうつらしかかっていると車内アナウンス。
「千里丘、茨木間の踏切におきまして、遮断機が折れているとの情報があり、ただいま先行列車が確認作業を行っております」
と、電車はみる間にスピードダウンし、やがて完全に停車。
あまりにも接続がよいスケジュールというのは、こんな時に困りものです。
近江八幡の駅の造りは、5分遅延すれば乗り継ぎは致命的です。
結局、高槻の到着は遅れ8分。
その後も回復できずに草津へ…
「この電車遅れておりますが、本日、草津では柘植(つげ)行きと接続をとります。
お乗り換えのお客様はできるだけお急ぎいただきますようお願いいたします」
さすがJR同士の草津線との乗り継ぎは、発車を待ってくれています。
別会社ながら、近江鉄道も待ってくれていないか、と淡い期待をいだきつつ近江八幡のホームに降りました。
しかし、やはり乗るはずだった電車はとっくに発車しています。
私同様乗り遅れた人たちで改札口前のベンチは、いつになくにぎやかです。
つい先日も、ここで乗り遅れました。
最近、この駅ではツキに見放されているようです。
次の電車は30分後。
それに乗っても乗らなくても、八日市からのちょこっとバスは約1時間後です。
でも、乗り遅れることは、悪いことばかりではありません。
あまりの接続の良さに、どこでお昼にしようか困っていたのですが、この待ち時間に駅前のショッピングセンターで済ませることができました。
ここで修正スケジュールを検討してみます。
1時間後のちょこっとバスに乗った場合でも、3時半くらいには目的地に着けると思います。
気になるのは、何かの都合であちらのイベントが早じまいしてしまったら元も子もありません。
練習の様子をちょっと見れればよいだけなので、参加している人に気を使わせるのはいかがなものか、とも思いましたが、今、そちらに向かおうとしている人間がいることだけは知らせておこうと、連絡を入れました。
八日市に着くと駅前に永源寺行き、というバスが止まっています。
乗ろうとしていたちょこっとバスではありませんが、方向としては、見当ちがいではありません。
この際、ちょこっとバスはあきらめても先を急ぐべきかもしれません。
制服を着た人が、能登川方面に行きたいという女性に、親切に案内をしていたので、終わるのを待って私も
「ここに行きたいんですけど、このバスの御薗っていう停留所からは近いですか?」
と地図を見せて尋ねると
「歩いてですか!?
それはちょっと無理ですわ。」
地図で見ると御薗のバス停から運動公園は歩けなくはなさそうですが、実際は愛知川をはさんでかなり歩きごたえがあるようです。
「あいとうマーガレットステーションからなら歩けますよね。
でも次は36分まで無いんですね」
と尋ねると
「ちょっと待ってください」
と言って、向かいで待機している小さなバス(これがちょこっとバスでした)の運転手さんのところに行って、しばらくなにやら話していました。
元々が粗いバス路線網の真ん中の空白地帯に、タクシー代をケチってバスで行くと言い張る難儀な乗客の要求に、誠意をこめて答えようとふたりで知恵を絞ってくれているようです。
概して、地方のバスや電車にたずさわる職員の方々は親切です。
戻ってくると
「あいとうマーガレットステーションに行くバスは30分にもあるんですが、遠回りをするので36分のほうが早く着きます。
このバスはそのあと、おくのの運動公園に近いバス停も通るのですが、遠回りをして行くので、着くまでには相当時間がかかります」
結局、36分まで待って、マーガレットステーションから歩くのがベストのようです。
発車まで時間があるので駅前を散策します。
何度か来たことはあるのですが、最近、この辺りにABC食堂というお店があることを知りました。
メニューにはグラタンのことをコキールと書いてあるのだそうです。
そのお店を探してみましたが見つかりませんでした。
あとで聞いたら、表通りに面してはいなくて、一本商店街に入ったところにあるのだそうです。
それにしても、コキールって、なんとなくノスタルジックな響きです。
辺りを一回りして帰って来るとちょうどよい時間です。
30分、36分と立て続けに出発するちょこっとバスの、後の便に乗ります。
前の便の運転手さんは、さっき親切に時刻を調べてくれた人でした。
料金は200円、珍しく先払いです。
一般に、こうしたコミュニティバスの運賃は、同じ地域に昔から走る路線バスに比べて著しく安いです。
先ほど停まっていた永源寺行きの路線バスに乗っていたら、同じ距離でも何倍もの運賃を払っていたはずです。
行政の補填の仕方があまりに不公平だと思うのですが、特に地元の人から不満が出ているという話を聞きません。
不満も出ないほど、バスが住民に利用されていない、ということでしょうか?
利用の多いお年寄りはどちらのバスも無料で乗れるのでしょうし…
私の後から小学校低学年の女の子が2人
「このバス○○に行くよね」
と話ながら乗り込んできました。
「お帰り!
行くよ」
と笑いながら運転手さん。
どうやら、駅前まで遊びに出てきた2人を行きに乗せたのもこの運転手さんだったようです。
乗客は私と女の子ふたりの3人です。
バスが走り出すと、一番後ろに座った女の子たちの席から、なにやら数字を数える声が聞こえてきます。
「あんた、オモローやりすぎや」
って、女の子たちが笑い転げて遊んでいるのは、ボタンを押すと数字を叫び、それが3の倍数だとバカの声、イコールは「オモロー」と言う「ナベアツ電卓」ですね。
彼女たちは、ちょこっとバスに乗って、八日市の駅前にこれを買いに来たのでしょう。
買えてよかったですね。
私も先日、たまたま吉本グッズを売る店を通りかかった時探してみたのですが、ありませんでした。
アピア前、市役所とすぎるうちに少しずつお客さんも増えて来ましたが、その人たちも愛知川を渡ってしばらく行くうちにみんな降りてしまいました。
名神高速道路の上をオーバークロスして切通を過ぎると景色が開けてマーガレットステーション到着です。
「あれですわ」
遠くに見えるグランドのネットを指差して、運転手さんが教えてくれました。
ここから歩くつもりだったのですが、連絡をしたおかげで、花の女子応援団が3人も抜けだして、車で迎えに来てくれていました。
酔狂でやって来た私のために、お手数をかけて申し訳ないことをしてしまいました。
さて、どんなチームが出来上がっているのでしょうか…
ちょこっとバス